瞬きさえ惜しいほど

好きなものを好きなだけ

光、だった。

 

大塚真二にとって、姫川玲子は、姫川班は、光だった。

だからこそ、少しでも翳ってほしくなかったのだと思います。この事件の手がかりを掴もうと今までだったら絶対にしなかったであろう違法捜査にまで手を出して。

 

姫川班がガンテツと対峙したとき、姫川主任と2人でコーヒーを飲んでいるとき、戸田で死体が発見され全ての班が横並びになってしまったとき、北見と捜査しているとき、そして違法捜査に手を出したとき、大塚くんが出てくるシーンでは、少しずつ、少しずつ、彼が別の方向へ正義感を振りかざしているのがわかりました。それはセリフはもちろんのこと、目の演技が大きかったかなと思います。

 

私は重岡くんの演技の中で、目の演技がいちばん好きです。目線、目の開き方、瞬きのタイミング、全てを演技としてわざとやっている訳ではないと思うけど、それを意識せずにできる、これって重岡くんの演技の大きな武器で、ひとつの才能じゃないかなぁ。

 

ドラマで描かれている中では大きく分けて2つ、「私の手柄じゃない、ストロベリーナイトは大塚の手柄よ」と姫川が言ってくれこと、そして皮肉にも北見が言った「(姫川主任のことを)尊敬してるんですね、とても。自分にもそんな上司が早く欲しいです」という言葉が悲劇への引き金になってしまったのかなと思いました。

 

特に北見と捜査しているシーンで、大塚くんは一瞬だけ時計を見てから「1時間だけ1人で行動させてもらえませんか?」と言うんだけど、この時の重岡くんの演技が本当に良かったです。見逃した方がいたら見てほしい。ちなみにその前の照れている表情も可愛かった。

 

そして、なんといっても血塗れで這いつくばっている姿が強く印象に残っています。最後に、光に手を伸ばす姿を見てボロボロと泣いてしまった。自分の血で染まった手を光のほうへ伸ばしているシーンは、大塚くんの「生」への執着、まだ成し遂げてないことがあるんだという強い意志を感じたよ。

 

ドラマの中とはいえ、自担が死んでしまったというショックではなく、"姫川班の大塚慎二が死んでしまった"という事実に泣いていることに気付いたとき、さらに重岡くんを好きになっていました。

 

重岡くんは以前のインタビューで"お芝居の面白さ"について、「自分の気持ちを言えるのがスッキリする。台詞なんだけど、ちゃんと感情を込めて自分の言葉として言えちゃうんですよね。この台詞はこうしようとか、気にしたらできないから。恥ずかしさもありつつ、いつも自分の中に役があるって信じてる」と言っているんですけど、もっともっと演技している姿を、重岡くんの中から生まれるものを見てみたいです。

 

1時間ちょっとの短い出演時間だったけれど、重岡くんの俳優人生にとって、たくさんの大きなものを得られたんじゃないかなぁ。

 

「お芝居の仕事が楽しい」と言っていた重岡大毅さんに、演技のお仕事が来ますように。

 

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